文学

香り

人間の感覚のうちもっとも表現しにくいのは嗅覚かもしれないが、ここ数日は何かと嗅覚が敏感だった。 香りについて書いてみようと思う。一昨日、自動車を走らせている途中に窓を開けると、春の香りが流れ込んできた。 それは日光で温められた土の香りという…

少年老い易く。

明日から仕事です。エイプリルフールのネタでもなんでもなく、本当に明日から仕事です。 長かった学生生活。ようやく定職を持つことが出来ました。ところで仕事仕事という前に、6年間の生活を、学業の点から短く振り返ってみたいと思います。 恥ずかしい話…

それは急な坂道を登りつめるように

世の中には色々な小説があるけれど、クライマックスまでの「登り詰め方」がすばらしい小説というのは、やはり僕にとって優れた小説だったんじゃないかなと思う。個人的にすごく印象的だったのはドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』、村上春樹の『ノル…

事実は小説より奇なり

さてマッチングの試験やら面接も昨日をもって無事に終了したので、いくらか肩の荷が下りた。これからは卒試シーズンであるのでより一層勉強に励む所存であるけれど、その前に少し書き残しておきたいことを書いておくことにしよう。今年の夏もっとも面白かっ…

その一歩が踏み出せないとき/旅と読書

不思議なのは出発が近づくにつれて、どこか落ち着かなくなってくることだ。こういうとき僕は漠然と不安な気持ちになる。後輩が、合コンの直前ってテンション下がりますよね、と言っていたけどそれに近いかもしれない。おそらく人は新しい環境に踏み出す時、…

マクベス、マクベス、マクベス

いまシェイクスピアの『マクベス』を読んでいる。『マクベス』といえば、『オセロー』『ハムレット』『リア王』に並び称される、四大悲劇の一つと呼ばれている。 なにより有名なのが、三人組の魔女。『マクベス』という劇は、こいつらの 『きれいは穢い、穢…

文学は救いになりうるか

こないだ麻酔科医室で医学雑誌をぱらぱらと読んでいたら、book reviewというページで『われらはみなアイヒマンの息子』という本が紹介されていた。はっとさせられたのは、その本の内容というよりもむしろ、筆者の文章の明快さと清々しさだった。筆者は書評と…