フジロック見聞録 part1

昨夜、友人に「S君、こないだ頼んだあの仕事もう終わっている?」と問い詰められる夢を見た。終わっているわけがない。だって俺はいまフジロックに来ているのだから…。

そんなわけで昨日はフジロックに行ってきた。一日だけの参加だが、それでよかったと思う。あそこに3日居続ける体力はどう見積もっても自分の中には見出せなかった。

重ね重ねお願いするが、僕のマッチングのこととか勉強の進行状況についてはどうか触れないでいただきたい。その話題に関する限り、語られるべき言葉は何もないのだ。



あの日新潟県を記録的な豪雨が襲っており、それはトップニュースで取り上げられたりしていたが、偶然にも雨があがっていた越後湯沢の現状にぬか喜びしていた僕は故郷の惨状を知るべくもなかった。

越後湯沢駅シャトルバスを30分くらい待ち、それから40分かけて山の上の会場に運ばれる。僕は前日明け方まで勉強していたのでほとんど夢うつつであった。気が付いたら会場に着いていた。じりじり待つ気分と車酔いを味わわなくて得をしたと思おう。

リストバンドを交換するのに15分待つ。それから会場に入る前にオフィシャルグッズの購入。これも相当並んだ。しかしその後に待ちうけていた様々な行列のことを知っていれば苦痛でも何でもなかっただろう。

地味な配色のTシャツとウェストポーチ。ウェストポーチなど僕は馬鹿にしていて持ったことすらないが、リュックからいちいち財布やら何やらを取り出すのが面倒だったので「えい」と買ってしまったのだ。しかしこれが功を奏することになる。

さてそれが終わると、とりあえずビールだ。水分補給である。ちなみにこの日の水分補給は主にビールで済ませた。

雨が降ってくると薄くなるのが紙コップで供されるビールの難点である。それに雨粒の中の何かがビールの分子と化学反応を起こすのか、次第にハイネケンは小便のような臭いが立ち込めてくるのである。賢明なる読者諸氏の想像を待たずして、これは堪ったものではない。ビールの購入には明晰な判断力が求められる。

雨の降りそぼるホワイトステージで、レインパーカーのフードを被ってサニーデイサービスを聴く。『珈琲と恋愛』という曲がラストを飾った。ちなみにギタリストの人は彼女募集中らしい(拡散希望)。

サニーデイサービスが終わると、各バンドのオフィシャルグッズ販売所に向かった。しかしレジまで6列もの行列が続いているうえ、一つの列が解消されるのに少なくとも10分かかっている。ということはレジに辿り着くのに1時間かかるわけだ。たかがColdplayのTシャツを買うのにそんなことはしていられない。自宅のPCでクリックすればいい話だ。

何処となくしょんぼりしながら引き上げるとグリーンステージに辿り着いたので、ラテン系のどっかのバンドを聴くともなく聴いた。割といい場所で聴いていたのだが、ちっとも面白くなかったので僕は途中で切り上げた。

会場をぶらぶら巡り歩くことにした。少し歩くと各国の料理の屋台がある。パエリアもあればタイカレー、台湾料理なんてのもある。越後もち豚丼と迷ったが、そういえばそれは会場に着いたときに真っ先に食べていたので、僕はタイカレーを選んだ。そしてシンハービール

用意した折りたたみ椅子でそれらをモソモソ喰らっていたら、レッドステージから勢いのいい音楽が聴こえる。見ると人々がぞろぞろと集っている。なんか楽しそうだ、これは俺も行ってみるしかあるまい。

そこで演奏されていたのはノイジーで何となくアヴァンギャルドな音楽だった。会場も暗くした体育館を適当にライトアップした感じで、その学園祭っぽいしょぼさと箱庭感がまた心地よい。

でも一番よかったのは、本当に楽しそうに演奏している、エンジョイしているということだ。だからいい音楽が生まれるし、僕たちもあの世界観に入っていける。
単純な話だけど、こういう見えない雰囲気で観客を引き込む力、やっぱり大切なのではなかろうか。

もちろん技巧や演出ってのも大事だけど、このバンドは何よりドラマーがamazingであった。ボーカルの声もかわいいし、憑依的でノイジーなギターもいけてる。
なんていうか俺の好みのドンピシャから少し外れた音楽だった。少し外れたというのは、こちらの想像がちょっと追いつかないような音楽だからだ。まあその外し方が嫌らしくないし、随所に驚きがあるというのは何とも刺激的でいいじゃないですか。
後でyou tube でチェックしなければなあ。あのラテン系にはがっかりさせられたけど、このバンドのライブを聴けたのは収穫だった。Deerhoof

さて、彼らの演奏が終わったころになって友人と合流。彼は大学のテストを終え、それから急いでここまでやってきたのだ。ちなみに彼は今日から三日間参戦である。

この後は二人でグリーンステージに行き、Jimmy Eat WorldArctic monkeysColdplayを続けて聴く。これは中々にタフでハードな戦いだったのだが…part2に続く。