さあ進路を決めよう(1)

医学部を卒業し、国家試験を合格すると、晴れて医者を名乗ることができる。

で、現在の日本の法律では、医学部卒業した人には2年間の臨床研修というものが義務付けられている。要は新人の研修期間である。

比喩の限界を無視して表現するのなら、某ハンター漫画の天空闘技場のようなイメージである。しかし断言できるが実際は全く格好良くない。

国試合格後に医者にならない人がどれだけいて、彼らが如何なるキャリアパスを選択するのかは私は詳しくない。

ただ、医師になりたいおそらく殆どの医学部卒業生に、この卒後臨床研修という2年間が待ち受けている。そして研修では内科や外科、救急などをローテートしつつ学ぶことになる。

脱線するが、この初期研修制度というやつは兎角議論の対象になりやすく、実際この数年間でちょくちょく制度が変わっている。

それは

 ・医局制度の崩壊後、日本の医療現場の労働力が安定しにくくなった。
 ・時代や世界の変化に伴い、日本で如何なる医師を育てたらよいかが問題になり、それによって臨床教育のヴィジョンも変化しつつある(あるいは定まっていない)。
 ・学生が組織に頼らず自らキャリアを構想し行動する傾向が出てきた。
 ・その他いろいろ。

…が、原因である。おそらくはしばらくコロコロ変わり続けるだろうし、大学も学生も病院もまた振り回されるであろう。個人的にはこういう制度は常に見直されるべきだと思うが。





さて臨床研修という言葉を持ち出すとき、必ずと言っていいほど同時に語られるのが、マッチングという制度である。

これは卒業後の就職先(研修病院とも呼ばれる)を決定するシステムで、いわば集団お見合い、あるいはドラフト制度のようなものだ。

病院側と学生側の希望をコンピュータがガチャガチャと整理し、「お前ここ行け、お前はあっち行け」と、ぽぽぽぽーんと結果をはじき出す。

我々最終学年の医学部生は、気になる病院を見学したり、先輩や友達から情報収集(「どこの病院はこういう実習ができる」「あそこの病院はヤバいらしい」etc)したり、黒い噂や桃色の夢想に振り回されたりしながら、夏くらいまでにどこの病院に行くか考えるのである。

長くなったので、続きはまた今度。